◆ サイトオーナーお薦めの非管風琴的音盤 5/03, updated 5/06
世界に羽ばたく日本の女性演奏家
オルガンの音は持続音なので、よほど演奏が良くないと疲れる。しかも仕事柄、オルガンの音を聴き過ぎているから、普段はできるだけ違う音楽を聴くことにしている。そうすると、どのようなオルガン音楽/演奏が「普通の耳」で聴いて面白いのか、よく判るようになる。
ピアノを中心としたインストゥルメンタルな音楽と歌を聴くことが多く、オルガン/ピアノ/ジャズを聴き始めてから45年くらいになるだろうか。今では、まあ、ほとんどあらゆるジャンルの音楽を聴く。要するに、自分が良いと思う音楽は片っ端から聴くことにしている。今後このコーナーではそういった非管風琴的音盤をたっぷり取り上げるから、併せて聴いて欲しい。
日本人ピアニストとして最初に世界的に認められた原智恵子 (=ガスパル・カサド夫人, 1914〜2001)
が、ショパンコンクールに入賞した年に パリで吹き込んだショパンのスケルツォ2番がCD化されている。これを聴いてみると、今日クラシックのピアニストになる日本人が、23歳でこれほど世界的に通用する個性と、なおかつ日本人としてのアイデンティティーを併せ持つことがあり得るかどうか、甚だ疑わしい。戦後録音のドビュシーも悪くはないが、キレの良さはやや後退。やはりこのスケルツォがイチオシ。ただし、ノイズの多いSPからの復刻なので装置によっては、演奏のエネルギーが上手く伝わるかどうか...?
夾雑物のない透明な演奏という点では、協奏曲も良い。透明な個性は、キース・ジャレットのクラシカル演奏に通じるものがある。このCDを聴く人は併せて、石川康子氏が著した伝記 「原智恵子:伝説のピアニスト」 を必ず読むこと。価格も安いし、大方の人には、スケルツォの録音よりもこの伝記を読むことをまず薦めたい。特に女性のあなた!
一方、昨年アメリカのテラーク・レーベルからCDデビューした上原ひろみ (1979〜) はジャンルを超えて今世界的に最も注目すべき日本の音楽家/ピアニストと言っても過言ではない。エネルギー極大。和声感覚初め、あらゆる面でバランスが良い。個性的であるかないかは、もはやどうでもいい。
2ndは知的統制が行き届いた分、即興性が後退したように思われるが、今後の発展を期待して2枚とも☆☆☆を捧げよう。最初に聴くなら 1st が良い。ジャズ・ピアニストとは呼ばれたくないと言うが、インター・ジャンルな音楽を切り拓く先導役を務めているのは上原ひろみ自身なのだ。
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原智恵子
伝説のピアニスト
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Hiromi 1st |

Hiromi 2nd
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◆ シアターオルガンの醍醐味を教えてくれる超推薦盤 2004-2-22
ステアウェイ・トゥ・パラダイス/リン・ラーセン/サンフィリポ・ミュージック・サロンのワーリツァ・オルガン
Stairway to Paradise / Lyn Larsen / The Sanfilippo Music Salon, Illinois, USA
Musical Contrasts (USA) MCI-212 (www.lynlarsen.com)
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「百選」では、基本的にシアター・オルガンを取り上げるつもりはなかった。ところが、ヨーロッパの有名なクラシック/教会オルガニストがシアター・オルガンを弾いたCDを最近いくつか聴いて気が変わった。それらが、あまるに「ひどい」からだ。
これは、シカゴ郊外にあるピーナッツ会社の経営者、サンフィリポ氏の広大な敷地の一角にある The Victorian Palace
と名付けられた館に設置された世界最大のシアターオルガンの完成十周年を記念して録音されたもの。
もともとリズム的にも音色的にも、あらゆる点で技術的に完璧な演奏をするリンだが、これは彼が円熟の境地に達したことを示す特筆すべき1枚。
多数のパーカッションを備えた大シアター・オルガンの音色をフルに発揮した演奏だが、
新しいフレーズが次から次ぎへと効果的・音楽的に奏でられ、大いに聴き応えがある。
ミディアムテンポの曲でのリズムの軽快さは 以前の演奏ではあまり聴けなかったように思うし、
随所にさりげなく挿まれたアルペジオ、気の利いた転調、様々なリズム的な工夫、絶妙のアーティキュレーション等々、
音楽を豊饒にする仕掛けが散りばめられていて、聴く者を飽きさせない。
まさに楽園への階段を上っているような気持ちにさせられ、うっとりすること請け合いだ ;-)
シアターオルガンの演奏はクラシックのオルガンよりも遙かに高度な技巧を要求される。
直接の比較は妥当でないとしても、トップレベルのクラシック/教会オルガニストを遙かに上回る
安定した技巧が聴き手に与える安心感だけでも、聴く価値があるというものだ。
なお、ストコフスキー編曲(をまたオルガンに編曲した)バッハの小フーガが収められているが、かつて
リンがバッハのスタイルで弾いて聴かせてくれた厳格なフーガの即興演奏には及ばなかった!
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● ヴァルヒャについて 2004-1-31
ヴァルヒャやマリー=クレール・アランの録音が、なぜ百選で取り上げられていないのかというお問い合せをしばしば頂くので、この際説明しておかないといけないだろう。
まず、このサイトの目的の一つとして、一般にあまり膾炙されていない録音や演奏家を積極的に紹介するということがある。なぜならば、妥協を排した本当に優れた録音、少なくともオルガンの世界ではメジャーな存在ではあり得ないからだ。日本盤で売られる有名オルガニストのディスクは、最大公約数的なものでしかない。
私(大林)個人の事情を言えば、40年以上前にオルガン音楽を聴き始めた時から、なぜかヴァルヒャを避けてきたのは、最初に聴いたLP(ステレオ)が地味すぎたからかもしれない。当時は、音楽よりも楽器に対する関心が強かったという理由もあるだろう。
今、ニ長調の前奏曲とフーガなどを聴いてみると、モノ(カペルでの録音)、ステレオ(ストラスブール)ともにヴァルヒャの演奏はなかなかのものである。今 手許には、モノ、ステレオともにヴァルヒャのバッハ全集があるのだが、一通り聴いておかなければいけないとは思いながら、少し聴いてはすぐに挫折してしまうのである。
優れたものもある一方で、感心しない演奏も多い。特に自由曲には、譜面の読み方が浅い、テンポが全然おかしいなど、弾き込んでいないと思われる作品がかなりある。これが当時の演奏のパラダイムだったかというと、そうでもないだろう。なぜならば、そういった古さを全く感じない上記ニ長調のような演奏もあるのだから...。
(続く) Last updated: 2004. 01. 31
● 百選候補盤 2003-10-03
(その他の候補は こちら "Nominated & Entered")
スヴェーリンク:オルガン作品/ロバート・ウーリー/ライデン、ピータース教会のハーヘルベール・オルガン (1643)
Sweelinck: Organ Works / Robert Woolley / Van Hagerbeer organ of the Pieterskerk, Leiden
Chandos (UK) CHAN 0701
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最近聴いた古典のオルガンCDで特に良かったのがこれだ。チェンバロ弾きとして名高い
ウーリーは地味だが雄弁、息の長いフレージングで、丹念に弾き込んでいる。アーティキュレーションも含め、全体的にタイミングの良さが光る。 そして、1998年に修復なったこのハーヘルベールの楽器がとても興味深い。
ルネサンス・オルガンの雰囲気を濃厚に伝えているだけでなく、Hwのプレノはシンフォニックとさえ言える興味深い響き。中世の「ブロックヴェルク」の響きを想像する上で一つの指針かもしれない。
このオルガンの送風系はちょっと敏感で、曲によっては右手の動きに対してふいごが過剰に反応するのが気になるが、奏者の責任ではない。
録音は自然で、教会内のオルガンにやや近い位置で実際に聴いている感じを彷彿させる。個人的にはスヴェーリンクの作品の大半は特に面白いとは思わないが、楽器と演奏と録音が良いので楽しめる。
Toku
☆☆
('03.10.03 up, 10.10 改:Hagerbeer の読みはハーガーベールとしていたが、ハーヘルベールが近いのだろう。)
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